「独り言」ページ・・? 
ブログが主流の時代、今時「独り言」とは・・・
時代錯誤の典型とも言えるこのページは、日常の出来事や、制作秘話・・ 釣行レポート等
あくまでも、私的目線で日々更新して行くページです。

しがないバンブーロッドビルダーの“戯言”と思い、読んでいただければ幸いです。

2007years story】



http://www.genius-rod.com


No22        ありがとうございました    2007.9.3

約1年半に渡り、私個人的なお話にお付き合い頂きましたが、
これをもって、この「独り言」はおしまいにいたします。

今後は、違う形で色々なお話を展開して行こうと思っております。

このページを楽しみにしておられた皆様には、大変ご迷惑をお掛けいたしますが、
準備が整うまで、今しばらくお待ちください。

また、それとは別に、新ページを開設いたしまして、
ジーニアスロッドの開発エピソード等、常ではないですが連載していきます。
そちらも、お楽しみに・・・


またお会いできるとは言え、一旦皆様とはお別れです。

新ページでまたお会いいたしましょう。
新ページ開設は15日前後です。

ご覧のお客様は、恐れ入りますが、必ずジーニアスホームページのトップページから
お入りください。


では、しばらくの間、ごきげんよう。。
そして、ありがとうございました。

新藤 忠伸



No21      釣行レポート その3の2    2007.8.26



「拾う神あり」

8月5日
いまいちパッとしない午前中の釣りを終え、私は他の3人と別のポイントに入ることとなった。

午後4時30分・・

目が覚めると、既に夕方であった。すっかり眠ってしまっていた。
実に3時間以上寝ていたことになる。。
お蔭で足の具合も良好で、何より体が楽であった。

私は一人、以前からイブニングはここだ!と決めていた本流に車を走らせた。

くねくねと曲がりくねった道を10分少々走れば、やがて本流と合流する。
一番気になっていたのは、昨夕の豪雨の影響であった。
道路越しに川を覗くと、水は澄み、水位は平水より僅かに高く、期待通りの状況であった。

この穏やかな流れに潜む大物の数は、想像を遥かに超える。


しかし、時間はまだ5時前、 少なくとも後2時間は何処かで時間をつぶさなければ・・
道路わきに車を止め、その中でその時をじっと待っていた。

その時・・
遠くの山間でまたもやゴロゴロと音が聞こえる。

「来るなよ!頼むぞー!」
雨雲が徐々に覆いかぶさってくる。
空を見上げれば、雲が勢い良く風に流されている。

次第に辺りがどんよりしてきた頃、嫌な予感は的中した。
パラパラとフロントガラスを叩き始めた雨は、やがて本降りになった。

しかし、今回の雨は昨日のそれとは明らかに違う。
雨雲の後ろには少し青空が覗いているからであった。
正に、夏の夕立である。

時間にして10分足らずだったろうか、今までの雨は上がり、良い感じにアスファルトが濡れている。
山間からは、もやが立ち、まるで熱しられた石に水を掛けた時のように、辺り一面湯気が立ち上っていた。

これぞ恵みの雨である。

時間は6時に少し早い・・

予定より1時間ほど早いが、入渓することにした。
と言うのは、正に恵みの雨で、肌に当たるそよ風が、今までとは全く違っていた。
思わず、「気持ち良い」と声が出てしまうほど、涼しく感じたからである。

ライトをベストのポケットに入れ、虫除けスプレーをこれでもか!と言わんばかり振る。

車を停めた橋のたもとから入渓したが、この時間では目的のポイントに、丹念に釣り遡がっても7時には着いてしまう。
私は、時間調整の為本来あまり狙わないポイントまで慎重に釣っていった。

この川は、両岸が葦に覆われていて、川の中を遡行しなければいけないポイントである。
その葦の際に良くヤマメが付いていのだが、川中を歩くため、遠くからのアプローチで釣ることを余儀なくされる。

早々、8寸程度のヤマメが飛び出したが、残念・・・フッキングしなかった。

しばらく釣遡がるが、生体反応はそのヤマメだけであった。

入渓から約1時間、7時に少し早い時間であった。

「ちょっと早いな」
私は既に目的のポイントに立っていた。

そのポイントは、左岸側から水路のような流れが本線と合流し、その噴出し口からおよそ3メータほど下流で
大きな石に当たり、その流れは、大石をなめる様に左右に分かれている。

明らかに大石の左岸側がポイントと誰でもが判断できるほど、良い流れを作っている。
流速と言い、水深と言い、大物が潜むには正に打って付けである。

私は、少し遠くからその大石の左岸側を下流からしばらく観察することにした。
ロッドは、もう直ぐ発売の“Master-PaPa  HandosmeBoy”7’2” #4のテストロッド。
4Xのティペットの先に#10のスペックルドセッジを結んである。

今立っているところからポイントまで約8メーター
しかし、ヤマメが出るであろうポイントを通過させるには、その少し上流にプレゼンテーションしなければ成立しない。
そうなると、大石が死角になりその上が皆目見えない。

そこで私は、出来るだけポイントから離れた対岸の右岸側上流に回り込み
ポイントを真横から少し下流に位置するよう移動した。

しかし、このポイントも葦が川岸に群生する為、どうしても水の中の移動となる。
これが、5月や6月であれば容易に川原を歩けるのだが、時は8月・・梅雨が明ける頃には、背丈以上になっている。
全く釣り人泣かせな川であるが、これがあるから魚が多く残るので、まんざら嫌ってもいられない。

これ以上近寄れない。
直ぐ後ろは、背丈以上の葦がキャスティングの邪魔をする。

バックハンドキャストでバックループを上流に逃がし、第1投を慎重にキャストした。
長いリーダーが意に反して完全にターンしないで落としてしまった。

失敗である。。

ピックアップに差し支えの無い場所まで流しきり、第2投
今度はリストを少々きつめに閉じ、スピードのあるループと、それに付け加えターン直前に手元のラインを
ちょこんと引っ張り、意図的にオーバーターンでアプローチする。

すると、上流側にリーダーが大きく膨らみ落ちるため、フライが先行しその後をティペットやリーダー、
またラインが流れるため右岸から下流目掛けて流すには、実に都合が良い。

#10のスペックルドセッジは上手く流芯に載り、まるでそれだけが流れているように
大石の向こう側に差し掛かった。

しかし、核心部を過ぎても反応が無い。

幾度と無く同じ事を繰り返すが、全く何も起こらなかった。

次第に集中力も薄れたその時、その核心部から明らかに尺は超えていると思われる
ヤマメが飛び出した。

私は驚きと同時にロッドを煽ったが時既に遅し・・であった。
全くなんて事だろう。 気を緩めた正にその時に・・・
へたくそにも程がある。。

しかし、デカかった・・・

後になれば成る程、悔しさが込上げて来る。

32センチはある夏ヤマメ! 粘り勝ちとはいえ良くこの時期に釣れたものだ。


何とか気を取り直した私は、その上の噴出し口を狙ってみる事にした。
良く見ていると、白泡が何秒かに一度、無くなるサイクルがある。
これが、食い波と言うものである。

その食い波にフライを乗せるため、タイミングを計りフォルスキャストを繰り返す。

もう何回流しただろうか?
しかし、諦めてはいけない。 さっきもしつこく流した時に出た。

10投・・15投・・

その時・・

またもや水面が割れた・・

デカイ・・・

一呼吸措き、ロッドを立てた・・・

デカイ魚を掛けた時、何時も感じることは、バンブーロッドって凄いって事を・・
水中で奴は逃げ場を探し抵抗をしているにも拘らず、ロッドは綺麗な弧を描いてただただ魚の引きに付いて行っている。
引きを楽しむも束の間、アングラーは何もしないのに魚の方が疲れて寄ってくる。

やがてネットに納まったのは、32センチはあろうヤマメであった。
先ほどやられてしまった仕返しが出来たような・・
なんか・・変な嬉しさが・・


しかし、さっきのヤマメも釣れていたなら、北陸を含め3日間で尺ヤマメを3本も釣っていた事になる・・
そう考えると、さっきの失態が悔やまれる。

嬉しさと、悔しさで何とも複雑な最終日であった。
デカイ奴がまだまだ居るのは分かった。

この地は私に何時も課題を与えて解放される。
まったく、儲かるのはガソリンスタンドと道路公団ではないか・・・

また来なければいけない約束が出来た。
絶対に奴に会うと言う、自分との約束が。。。






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No20      釣行レポート その3    2007.8.21

「鳥取」

西川氏との釣行を終え、一夜明けた8月4日 私は2名の同行者と共に鳥取にいた。

1名は、度々この地を一緒に訪れているU氏である。
そしてもう1名、今年3回目の関西訪問の湘南っ子のY氏である。

予断だが、Y氏は車も湘南ナンバーでカッコイイ!!
その昔、やんちゃ時代、自分の背負うナンバーが不満で、湘南や横須賀ナンバー
に憧れたものである。

だって、奈良・・でっせ! 奈良・・
せめて、なにわナンバーや和泉ナンバーでいたかった。。
地を這うマシンに奈良ナンバーは似合わない・・

すみません・・余談でした。。

Y氏との出会いは、2007年2月のつるやハンドクラフト展でのことであった。
ロッド談義は次第にビンテージペゾンの話になり、Y氏は私がペゾンのレストアも引き受けていることを知った。
僅かな時間であったが、非常に内容の濃い話だっただけに、私の記憶にも多く残っていた。

3月のある日そのY氏から1本の電話が入った。

聞くと、仕事の関係で関西に行くので、キャスティングを見て欲しいとの内容である。
それに付け加え、持参のペゾンをレストアして欲しいと・・・

私は、こころよく引き受けた。
そのレストアペゾンがこの「独り言NO6 レストア」で紹介した“パワープラス”である。

Y氏とは、年も近いこともあり、溶け合うにもそう時間は掛かりませんでした。

それから数ヶ月・・

5月に本流でウエットフライの釣りにご一緒させて頂いて以来、Y氏とは事実上2回目の釣りである。
今回は仕事を絡めず、完全プライベートで来られている関係上、たっぷりと時間を取っていると言う。

ならば、時期的に少し難しいが、少しでも釣果の可能性の最も高い鳥取に案内する事となった。

この川は何時来ても素晴らしい渓相である。 


『8月4日』

ポイントに到着したのは、午前3時過ぎであった。
4時半には明るくなり始めるため、少しの休憩後 3人は早々に身支度をし、今回最初のポイントとなる
N川の上流を目指して、林道を歩き始めた。

この川は、鳥取レポートでは常に登場する有力河川で、今回も素晴らしい渓相と、素晴らしいイワナに会うため
Y氏を案内するには、丁度良い選択であった。

歩くこと20分、ようやく目的のポイントに到着した。
この流程は過去に大物を何匹も出ている、A級ポイントが連続する最もエキサイティングなコースである。

この川も先の北陸地方の河川同様、台風5号の影響と思われる、この時期にしては水量が多い。
一見にして、“いただき状況”と思われたが、予想とは裏腹に、大きく状況は違っていた。

先行者は皆無のはずである。 私たちの他に先行して歩いてきたパーティーは居ない。
なのに、川は静まり返った様に小物すら出てこない。
遡がれども遡がれども、何も起こらない。。

後で分かったのだが、前日の夕方に相当の雨が降ったらしく、それまでの水温から一転して
大幅に下がったらしい。
いくら夏本番の釣りとは言え、大幅な水温低下は逆に活性を下げてしまう。

全く運が無い話である。
夕立程度の雨は、正に恵みの雨であるが、大増水を伴う雨は、願わくばご遠慮いただきたかった。

山が豊かな渓は、水の引くのも早く、私達が訪れた時には既に平水近くに水位が下がっていたため
昨日の大雨など考えも付かなかったのであった。
地元アングラーのM氏も山の天候まで読みきれず、台風5号の影響は無いとの情報だっただけに余計である。

状況が一転していることなど知らずに・・・


ならば・・私達は、大幅にポイント移動することとし、その川の反対側に位置する小河川に入渓する事となった。

わたしは、先の川で長時間歩くことを余儀なくされたため、少し足を休めるべく小休止を取る事にし
U氏とY氏にその川を釣ってもらうことにした。

2名が釣っている間、私は車を走らせ、他の河川がどのような状況であるかを下見しに出掛けた。
次なる入渓河川をおおよその見当をつけ、彼らの釣るポイントに戻ってきたのは丁度お昼前であった。

彼らも私の気配を感じたとあって、退渓してきた。
釣果は小さいながら、お二人共綺麗なイワナを数匹釣ったと言う。

それを聞き、少々肩の荷が下りたような気がした。。


『重なる不運』

イブニングまでの繋ぎに1〜2時間釣り遡がれる川に入渓する事にした。
今回は、私も参加させてもらう。。

時間は丁度4時前、恒例のお約束M氏との合流が午後6時半。
それ間での僅かな時間を釣るのには丁度良い川である。

すると・・どうだろう。。

全く運が無いとはこのことを言うのだろう。
入渓して直ぐ、ゴロゴロと雲行きが怪しくなってきた。

「降ってきそう・・」

そう思ったのも束の間・・ポツポツと木々の葉っぱを叩く音がする。

「やっぱり降って来たね!」

すると、見る見るうちに雨は激しくなり、やがて豪雨と化してしまった。

雨具を用意していなかった私達は、慌てて車に戻った時は前身“ずぶ濡れ”状態。
しばらく車中で待機するものの、雨は激しくなるいっぽうであった。

林道はぬかるみ、小さな川を作り始めた。
私達はここでの釣りは諦め、安全な場所まで戻ることにした。

1時間に1本程度しか走っていないバス停は、雨宿りの場所として最適であった。 ごめんなさい、鳥取交通さん。。

ワイパーを最大にしても追いつかない激しい雨・・・

約1時間あまり続いただろうか? やがて雨は止んだ・・
全く無責任なもので、雨が止むと、何も無かったかの様に晴れ間が広がる。。
その日差しがまた暑い・・

自然には逆らえないが、この晴れ間を見る限り、「今までの雨は何?」
まるで吉本新喜劇の“落ち”かドリフのコントのような・・

どれだけ〜〜!って感じであった。

肝心の川は、本流を覗いて見ると、今までの渇水状態から打って変わって、
その流れは倍増し、茶褐色の水が沢山の白泡を作りながら流れている。

見た瞬間、確実に私の頭の中で誰かが鉦を叩いた。

当然、イブニングは散々であった事は、容易に想像していただけるでしょう。

その夜は、宿に近い焼き鳥やで、地元M氏を含む私達4人は、無意味に盛り上がっていた・・・・

続く・・・




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No19      釣行レポート その2の2    2007.8.17


「今後に期待」

午前10時に少し早い時間、曇天とは言え肌を射す日はやはり暑い。
私と西川氏はダム上にある渓流で、イワナを釣るため車を走らせた。

このダム上の渓流だが、この河川にもう何年も通っているくせに、実は初めてであった。
この川は私の中では、「ウエットフライをする川」的存在で、事実ウエットフライが実に楽しい河川であるため、
わざわざ、上流を目指す必要がなかったからである。

そもそも今までは、8月のくそ暑い時に来ることはなかったので、なおさらであった。

しかし、今年はご存知のように、6月7月と最もいい時期に動けなかった関係で、
少々ストレスが溜まっていたのだろう。
私の中で、“わくわく感”が芽生えていたのであった。

初めての川は、期待と不安が何時も付きまとう。多くの場合期待はずれが多いのでが・・私の場合は。

想像していたより遥かに近く、僅かな時間でダムまで到着した。

このダムはダムサイドからまるで蛙が股を開いているような形をしていて、その各々に小規模ながら
素晴らしい渓相の川が独立してダムに流れ込んでいる。

私達2人は、地図上で明らかに水量の多いであろうと思われる渓へ、車を走らせた。

バックウオーターが現れ出して間もなく、それまで舗装してあった道も林道に変わり始めた頃
渓はすっかりその姿を“のっぺり”とした状態から落差のある素晴らしい顔に変わっていた。

時折、車窓から覗き込み渓相を確認する。

初めての川は、何か有力な情報がない限り、全く雲を掴むようなもので、何処がいいとか、この先はどうなっているとかは、
知る余地もないのは言うまでもない。

ならば、入渓し易い所からと言うことになり、早々車を停めた。

入渓して最初に感じたのが、とても難しい川であると言うことであった。
と言うのは、まず第1に、その気になれば何処からでも入渓出来ること。 第2にひじょうに女性的な流れであること。
そして第3に、釣り人の痕跡が多かったこと。。

この3点から難しいと直感したのであった。

しかし、多くの場合、このような川は魚の残る傾向が強く、
えさ釣りが何人入っても、絶対に釣り切られることのない条件が揃っていた。

こう言うポイントで上手に釣る条件とは、たった一つ。

出来るだけ離れて、少しでも長い時間自然に流す事!
これに尽きるのです。。

釣り人が多い割りに、釣り難い渓相は、魚の住処にむらがある。釣り易い1級ポイントほど魚影は薄い。

お互いが早く状況を知るため、サイズ・パターンを変えてイワナ釣りのスタートである。

私は、#10に巻いたジャシッドで釣り始めた。
入渓して間もなく、小さなイワナが懸命に大きなフライに飛びつく。。
あまりの一生懸命さに思わず笑いが出てしまう。。

人間も魚もチビちゃんは暑くても元気がいい。

時折、グッドサイズが飛び出すが、全くフッキングしない。
やはり、時間帯が一番の原因なのだろうが、人が多いことを魚が物語る。

ティペットを細くし、フライを小さくして釣り遡がる。
しかし、フライを小さくした途端、それまでの反応が無くなった。

一方 友人の西川氏はテレストリアルを意識した#12程度の黒いパラシュートを使っていたのだが、
時折反応するくらいで、#10のジャシッドに比べて明らかに反応が悪い。

入渓して2時間ほど釣り遡がったところで退渓した。

結果は、お互いに“ボウズ”であった。

しかし、ウエットフライの滑り止め的利用で入渓したが、その渓相の素晴らしさに
この川だけを本気で釣りに来てもいいな!とも思えた。

結果は、釣れなかったが、私の「また来たいリスト」にしっかり登録されたのであった。


「再び本流へ・・」

昼食後すっかり眠り込んでしまった私たちは、再び本流の大物を求めて、早朝のポイントまで下り始めた。

日中の気温が30度を超えるような時期は、夕方の涼しくなる時間帯までに水温が下がりきらず
あまり期待できないのはいうまでもない。
当然、イブニングよりモーニングに分があることも言うまでもないであろう。

本流でもチビヤマメは元気一杯フライを追いかける。 こんなサイズでも6番のバンブーを結構曲げるから面白い。


しかし、僅かな期待をを胸に私達は本流を目指した。

イブニングは刻々と辺りが暗くなる。

そう易々と幾つものポイントを釣ることはできない。
今までの経験と実績を元に、お互いに1つのポイントを絞り込み、そこでイブニングを決行することにした。

川に立ち込んで分かる。。

朝とは明らかに水温が違う。。

次第に視界が遮られる。

最も大物の期待の時間である。
しかし、残念ながら期待とは大きくかけ離れた小物ばかりヒットする。

やがて、辺りがすっかり暗くなった頃、全てが終了した。。


今回は、真夏の釣行と言うこともあり、初めからそんなに期待はしていなかった感が私にあった。
しかし、早朝には尺ヤマメを釣らせたもらったし、小さいとは言うものの、沢山釣れた。

ダム上流のポイントも今後の期待大である。

本来なら、エアコンカンガンの部屋で、フライでも巻いていたほうがマシなこの時期に
誘ってくれた西川氏に感謝である。。

彼が誘ってくれなかったら、尺ヤマメも無かっただろうし、ダム上もいまだ未開拓であったに違いなかったはずだ。。



明後日は、東京から私訪ねてYさんが来られる日である。

Yさんには、鳥取を案内する予定になっている。
ここしばらくは、忙しい日が続きそうだ。。







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No18      釣行レポート その2    2007.8.13

ウエットフライで釣ってね!と言っている様な流れである。

足の調子がよくなるにつれ、このくそ暑い中、私自身が調子に乗っているようで、
ここ最近、時間があれば釣りに行っている。

人は私を、「足が良くなったらいきなり釣り三昧か!!」と言われています。。


8月2日

早めの夏季休暇を取ったと言う西川氏と共に、北陸のある河川に行った。
この川は、年間に3〜4回通う私のお気に入りの1つである。

深夜から車を飛ばし、ポイントに着いたのは午前5時過ぎ。
うだる様な暑さの中、たとえ北陸と言えども、気温・水温共に高いのは覚悟していた。

しかし、台風5号が通り過ぎた影響だろうか、体に当たる風も涼しく感じた。

早々に2人は身支度を終え、各々のポイントに入った。
この川は、ウエットフライをするのに丁度良く、特にバンブーの6番辺りで釣るのにうってつけのである為
ロッドのテストや、フライのテストによく訪れている。

今回もウエットフライでの釣り下りで、ロッドはパラボリックシリーズの“スキューズ”を使った。
この“スキューズ”は釣り下りのウエットフライ用に開発している為、このような場面では何かと出番の多いロッドである。

入渓して間もなく、小振りではあるが元気の良いヤマメがドロッパーのグレーとゼッジに食らいつく。

思ったほど水温も高くない。 むしろ長時間浸かっていると少し冷えてくるくらいだ。
やはり雨が影響しているのだろう。

体高があるためか、30センチあるのに小さく見えてしまう

ポイントを変えて丁度3つ目のある場所のことであった。
そのポイントは、比較的浅い瀬が約50mほど続き、一見にして小物のポイントのようにも思えた。

瀬の頭から丹念に探っていく。

丁度浅いところから少し深くなった場所にフライが差し掛かった時、いきなりロッドは引っ手繰られた。。

掛けた瞬間、大物だと直ぐに分かった。

スキューズが大きく弧を描いている。

しかし、不安感など微塵も感じない。

それどころか、適切なプレッシャーを掛け続けている。

数十秒後ネットにおさまったのは、ジャスト30センチのオスヤマメであった。

体高があり、30センチあるにも拘らず、その体高のあまり小さく見えてしまうほどの素晴らしいヤマメであった。

後にも先にも尺ヤマメはこの1匹だけだったが、その後も20〜25センチ級の元気の良いヤマメが
ポイントごとに釣れ続けた。

殆どのポイントからヤマメが釣れる。 改めてウエットフライの面白さを感じる日であった

時間が午前9時を回っていた。
曇天のせいか、それほど暑さは感じない。

しかし、良く出来たもので、時間の経過と共に反応が無くなり始めた。

私たちはこの本流をイブニングに回し、イワナに会うため上流部を目指した。

続く・・・






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No17      イベントのお知らせ    2007.7.26



『ジーニアスロッドを楽しむレクチャー』

これからのバンブーロッドビルダーは、ただロッドを作るだけではいけません。

一本のロッドを誕生させるまでを、ビルダー自信が手掛けるのであれば

当然そのビルダーのフィッシングセンスが問われることでしょう。

キャスティング・フィッシング・タイイングとフライフィッシング全ての分野で

ビルダー自身のスキルアップを計らなければ良い物は作れないはずです。

と言うことで、何故このジーニアスロッドは生まれたのかを実際のフィールドで
皆さんにご披露するイベントの紹介です。

記念すべき第一回のレクチャーは地元関西は奈良県で開催いたします。

9月9日(日) 奈良県天川村で、午前中は上流部の比較的障害物や落差の激しいエリアでのロッドの使い方を説明。
午後は、下流部の開けたフィールドでの使い方をトータルで4〜5時間程度のレクチャーと考えております。

そして・・ 10月下旬〜11月初旬(日時は未定)に関東にて2日間の予定で行ないます。

既にジーニアスロッドユーザーの方は、更なる進化を・・・

これからお考えの方々は、購入の手掛かりにしてください。

詳細は http://www.genius-rod.com/lecture.htm


多数 ご参加心よりお待ち申し上げます。




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 No16     お待たせしました    2007.7.21

キャスティングレッスンを再開いたします。

一身上に都合により、約1ヶ月半に渡りお休みいただいておりました無料キャスティングレッスンを

7月28日(土)より、再開いたします。

体が不自由なこともあり、殆ど作業が出来なかったことをいい事に

キャスティングメカニズムに関することばかり考えておりました。

より一層パワーアップした考えの下にレッスンを展開して行きたいと思います。


今までお待ちいただいておりました方々には、大変ご迷惑をお掛けいたしました。

キャスティングに興味のある方なら、初心者、ベテランは問いません。

多数ご参加くださいますようお願い申し上げます。

バンブーロッドに関しましては、常に沢山のロッドを持参しております。

ご自由に振っていただけますので、興味のある方は是非・・・

詳細はこちら




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 No15     メカニズム    2007.7.18


ロッド性能を優先した上で、美しさと実用性を両立したデザイン。 半世紀以上前から受け継がれている。


フライフィッシングを語る上で、欠かすことの出来ないカテゴリーがキャスティングであり、
今も昔もその考えは変わりない。

魚釣りでポイントに餌や擬餌針を投げた後に、
ロッドを使ってその物体を動かす行為は、フライフィッシングには殆ど無いといっても過言では無いでしょう。

餌釣りやルアー釣りは、さお先を巧みに動かし魚を誘うが、ことフライフィッシングと言うと、
その殆どがキャスティングしてから何もしないことが多い。思い付くことと言えばメンディングぐらいである。

細かく言えば、ストリーマーやウエットをスイングさす際、ロッドティップを小刻みに動かすことがあるが、
キャスティングにおいて理想的なラインをアプローチできてこその動作であるので、それをするためのアクションではないはずである。

ことドライフライはその象徴で、ポイントに対して最初のプレゼンテーションで全てが決まってしまうため、
キャスト後は全く何もしないことが一般的である。

と言うことは、フライフィッシングの殆どが、キャスティングに集約すると考えるのが、
当たり前で最も普通ではないかと、私は何時も感じています。


キャスティング優先と聞くと、殆どの方が「硬いロッド」や「渓流では使えない」的想像をされるのではないでしょうか?
実際に優れたロッドは、しなやかでありながらティップの帰りが早く、ひじょうに良く飛ぶ物が多いのです。

そもそもキャスティング優先と言う表現があること自体少々疑問を感じるのだが、
世間では、キャスティング性能がしっかり備わったロッドをそう表現するらしい。


5月の夕方、淵の頭で小さなライズがあった。 20ヤード近くキャストして釣ったなき尺イワナ


前置きが長くなりましたが、今回はキャスティング性能と言う角度から見た
パラボリックアクションの仕組に付いて話を進めて行きたいと思います。


最も理想的なキャスティングフォームとは、“小さな動作で、より大きい力”です。

この考えは、半世紀前から受け継がれ今日に至ります。

小さな動作とは、ロッドを出来るだけコンパクトに振ることで、言い換えればロッドを振っている時間が短いことを意味します。
ロッドを振る距離が短くすることにより、ロッドの直進性に優れると同時に、ロッドティップが常に高い位置で往復を繰り返します。
放出されるラインも常に高い位置を飛び、実際のフィールドで使う場合、トラブルが最も少なく、ひじょうに理に適ったメカニズムです。

ラインを状況にあった理想的な力で飛ばす場合、それに見合ったロッドの“曲げ”が必要となります。
近距離は小さくて済む“曲げ”も、遠投になればより大きく曲げてやる必要が生じてきます。
つまり、いずれの距離にしてもロッドを曲げてやらないと、良いキャストが出来ないことになります。

小さな動きの中でロッドを曲げる行為は、ひじょうに難しく、その技術を習得するには、練習と言う試練が付きまとうのです。

しかし、このキャスティング方法は何も特別な物ではなく、優れたロッドと優れたコーチの元で
練習を重ねることで、比較的容易に習得出来るはずです。

ここで言う“優れたロッド”は、パラボリックアクションを持ったロッドの事で、
ジーニアスロッドなんかを使って頂ければ完璧でしょう。

しかし、優れたコーチは残念ながら、ご自信で探してください。
奈良まで来て頂けるのであれば、ご指導いたしますが・・・・(笑)



さて、バンブーロッドはご存知の通り、竹で出来ています。
竹はその性格上、堅いくせにしなやかな特性を持ち、この特性を上手く利用することにより、優れたロッドが誕生いたします。

反発力に乏しいと言うことから、どうしてもテーパーをきつくし、
また太くすることで補う考えが先行してきました。

しかし、重く太いバットは、ロッド全体が曲がるのに時間がかかり、
「小さな動きで、大きな力」を考えた時、短時間でロッドを振ることが非常に難しく、
十分なパワーを蓄積できないまま振り終わる現象が生じます。

そこで、考え出されたテーパーが、スローテーパーで構成したロッドです。
バットを細く設計することにより比較的曲り易くすることで、ロッドの振り始めから曲がろうとする
性格のロッドを作り上げたのです。

更に、バットのみを短くすることで、“曲り易いが、強い”仕組みが完成したのです。

このテーパーは、短時間でラインを放出するに正にうってつけで、
負荷に応じて最も相応しい場所が作用致します。
これを一般的にはプログレッシブともパラボリックとも言われています。

このような性格のロッドは、近距離から遠投まで実に見事にその役目を果します。



では、この優れたアクションを有したロッドを上手に振るための要点に話を進めて行きましょう。

最も基本的投げ方として、スローテーパーのロッドを振る場合、バットが比較的曲がり易い構造ですから、
ティップから曲げていくことを意識してロッドを動かします。ティップから順番に負荷を掛けて行く事により、曲がり易いバットは、
早い段階でしっかりとその役目を受け取り、短時間でラインを放出するに相応しいエネルギーを蓄えてくれるからです。

しかし、この基本的フォームもフォルスキャストするラインの長さで異なります。
勿論全てが正しいのですが、ここで間違ってはいけないのが、
ラインの長さにより、一連の動作では補えないと言うことです。

しいて言えば、馬鹿ほど長いラインをフォルスキャストする必要は無いのですが、
折角、投げる事の出来る、ひじょうに高いポテンシャルのロッドがあるのに
ロッドと遊ばないと・・・

そう思いませんか?

すみません・・余計なことを。。
もとへ・・



ラインがロッドティップから出れば出るほど、ロッドの移動範囲は長くなるのが普通です。
だからと言って、大きな動きでは疲れるだけです。
キャスターは長いラインでも、コンパクトにキャストすることだけを考えます。

ラインが沢山出た状態でも、出来るだけ小さな動きの中で、最大にロッドを曲げる努力を
しなければ行けないのですが、ラインの長さによって、ロッドを振る角度やタイミングが異なってきます。

フォルスキャストするラインが長ければ長いほど当然ですが、難しくなると言うことです。

バックキャストは、常に高い位置でキャストできるよう心がける。

特にラインが長い場合は、バックキャストからフォワードキャストに入る際の手首と肘の
動き方に最大の注意を払う必要があるのです。


もうひとつキャスティングで気を付けなければいけないことは、バックキャストの高度です。
バックキャストはアップキャストと言うくらいバックの高度は重要になっています。

しかし、いくらアップを意識していても、15ヤード以上のラインをフォルスキャストする場合、
必然的に高度は下がり、20ヤードでは更に下がります。

長いラインをロード(ラインを引っ張っていく様)する場合、バットとティップを同時に曲げてやる運動に変えると、
ロッドの移動範囲を大きくしないで、引っ張るラインの負荷に適したエネルギーが蓄えられるのです。

ロッドの運び方については、誤解が生じる恐れがありますので、ここでは触れませんが、
バックキャストのライン高度が大きなヒントとなります。


ティップから順番に曲げていくフォームは、短いラインではロッドの性能を十分生かしたメカニズムです。

勿論、最もこのフォームが基本になりますから、しっかりと身に付ける必要は言うまでもないでしょう。

本来20ヤード以上のラインをフォルスキャストする必要があるのか?と聞かれれば、実践を考えれば、正直答えに困ります。

遠投を余儀なくされるフィールドでも、15ヤードそこそこのフォルスキャストの後、シュートにて距離を稼ぐでしょう。

しかし、長いラインをフォルスキャスト出来るテクニックを習得すれば、
それ以下の距離は正に「赤子の手をひねる」様なもので、フィールドでは余裕を持ってキャストできますからトラブルも少ないはずです。

ショートからロングまで、実に気持ちよく、しかも驚くほどパワフルなロッドが目の前にあるのに、
そのロッドの性能を引き出さないのは実にもったいない。

ご覧の皆様も、是非パラボリックアクションの本領を味わってください。

でもそれには、少々練習と言うちょっとだけ辛い時間が必要ですが・・・




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 No14        決定まじか・・    2007.7.10


先月秋田を後にして以来、現地では今もなお池田さんによる「ハンサムボーイ」の
テストが繰り返されています。

つい先日、池田さんより「ハンサムボーイ」の採用アクションが決まってきたとの一報が入った。

そのアクションは本採用ではないので今のところお伝えできませんが、
池田さんの見解ではほぼ90%決定しているらしい。。

一方、私の方はと言うと、今期予約を受ける15本分のパーツの製作、
ロッドケースのデザイン等、その時に備えて準備に余念がありません

このMaster−PaPaシリーズ第1弾として池田浩悦氏に協力を頂き、ようやく商品化にこぎ着けることが出来た。
私個人としても、またロッドメーカーの立場としても、このプロジェクトは何が何でも成功したい。

後に協力して頂ける、ご当地の達人たちの為にも、
このMaster−PaPaシリーズは、絶大なる自信で構成していく所存です。



価格の方も、少々お高い設定になっていますが、商品のクオリティーを考えれば
決して高い商品ではありません。
価格が、自信の裏付けとご理解頂ければと思います。

近日、その全ぼうを詳しくご案内できるでしょう。   興味のある方、今しばらくお待ちください。

取り急ぎ、ご報告まで・・・






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 No13         ブログ      2007.7.6


http://paragressive.blog111.fc2.com/


突然ですが・・ブログ開設しました。

この「独り言」があるのに何故ブログ・・? と思う方、多いはずです。
実は、新しいブログは私一人が管理して立ち上げてるものでは無いのです。

私を含む3名のロッドメーカーが、共有するページで、それぞれに話題を提供し、コメントを下さる
方々と、より一層の親睦が図れれば・・と考え開設いたしました。

この「独り言」はあくまでも一方通行の情報ですし、少し難しい話とこだわり話が殆どの内容です。
一方ブログでは、もっともっと“ラフ”な話題で、実際のお客様とブログを通じて会話が出来ればと思っています。

http://paragressive.blog111.fc2.com/

ブログタイトルは「PARAGRESSIVEな集い」パラグレッシブな集いです。

パラボリックとプログレッシブの同意語を掛け合わせた造語ですが、パラボリックを崇拝する3人が
フライフィッシングの話題を様々な角度から提供していきます。

「独り言」は、真っ向マジ話・・ 「ブログ」は、冗談たっぷりマジ話・・

2色のマジ話を使い分けて発信していきますので、どうか、皆さん末永くお付き合いくださいますようお願いいたします。


http://paragressive.blog111.fc2.com/




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 No12      やっと出会えた   2007.6.27


数ヶ月前、ひょんな事からネット上である人と知り合った。
その方は趣味でランディングネットを作っている 東京在住のM氏である。

名前を明かせないのは、M氏はあくまでも趣味でネット作りをしておらますので、ご理解いただきたい。

今回、M氏に特別にお願いして、私用のランディングネットを作って頂いた。
そのネットが、昨日届いた。。

梱包を開けたそこには・・・

実に、素人とは思えない素晴らしい出来に感動し、ついつい紹介したくなり、記事にした!と言うわけです。



本来私はインスタネット派である。
これは、この独り言で度々記載してます私自身の釣姿を見て頂ければ容易に想像つくことでしょう。

その私が何故ランディングネットを・・・?  なんですが、
ウッドフレームのネットには、本当に欲しい形が無かったからとでも言っておきましょう。


何時の時代からかランディングネットはその本質的性能を忘れ、右や左に大きく曲がり、
鹿角だの高級銘木だのと、見てくればかりが先行するようになってしまった。

ネットの場合、ロッドとは違い兎に角魚をすくえればOKと言う発想からでしょうか、
多種多様なデザインが登場しています。
まぁその考えは有りと言えば有りですが、私自身は使う気がしなかったのは事実です。


ある日、インターネットで諸々を検索していたところ、M氏のブログにヒットし、またそのブログから
M氏のホームページがリンクされていて、その内容の殆どが、ネット作りの記事でした。

私は、その作っておられる数々のネットの中で、ある形状の物に目が留まった。

それは、なんて事の無い昔ながらのティアドロップ型を少しだけ先端にかけて広がっている
正に私が最も理想の形と思い続けていた形状だったのです。

早々にM氏にアクセスし、私の指定するサイズで作ってもらったのが上の写真の物です。
指定といっても大体の寸法と形を伝えただけで、後はM氏にお任せであった。


見て頂ければ分かるように、別になんて事の無い形です。
しかし、近年このなんて事の無い形を探す方が難しくなってきています。

すくい口の直径とハンドルの全長とのバランス。
ハンドルから徐々にカーブし先端へ開いていく曲線美・・・

完璧だと思いませんか????

私の理論はこうである。

必要だからその形に行き着いた・・
道具として完成しているからこそ、その形が美形であり、最も美しい。


ネットもロッドも道具である以上、そのコンセプトは同じである。


M氏の作るネットに、深いものを感じる今日この頃であった・・・





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 No11         秋田       2007.6.18

釣行編」



今年の初め工房に1本の電話が入った。
電話の向こうは、岡崎の達人 平岩氏であった。

平岩さんとは少し前からのお付き合いで、2006年12月、ジーニアスロッドの取扱店として
私のロッドの販売に協力して頂いています。

平岩さんは毎年この時期に秋田の池田さんを訪ねて行っておられるらしい。
その釣行に一緒に行かないかと言う有り難いお誘いであった。


勿論、断る理由は何処にも無く、今年もハンサムボーイのテストを兼ねて秋田に行かなければ
いけなかった私にとっては、願っても無いお誘いであり、都合が良かった。

理由は、平岩さんにもハンサムボーイを使ってもらい、率直な感想が聞けるからである。
この事は、池田さんも大賛成であった。

池田さんも平岩さんのことを一目置いていて、数少なくなった本物フライマンの一人であると言う。
キャスティング技術も素晴らしく、私ごときが評価するのは全く失礼と言ってもよいほど
全てに対してパーフェクトフライマンである。

北国でも今年は雪が少なかったため、かなりの渇水状態での釣りとなった。


私の今回の秋田入りは、平岩さんより1日早い6月9日に決めていた。
去年の2泊3日の日程では少し物足りなかったから、今年はもう1日増やし、3泊4日としたのであった。


「再会」

9日の午前9時50分、予定の時間より僅かに遅れ、秋田空港に到着した。
今年は、私1人である。 昨年同行した友人はつい最近転職し、職場に慣れるまでは秋田どころではないと言う。。

秋田空港の正面玄関で待っていると、少し遅れて池田さんが来てくれた。
二人は再会を祝し、硬い握手を交わしたのは言うまでもない。

この達人に空港まで迎えに来てもらうなんて・・
私もまったく偉くなったものである(笑・汗・汗)

先ず案内してもらった場所は、やはり大物が沢山生息する川で、過去に40センチ級が釣れた
秋田でも特に池田さんのお気に入りの1つだと言う。

空港から僅かな時間で最初のポイントに到着であった。
現地には、池田さんの愛弟子である、青森の鳴海さんと
また池田さんに最近弟子入りしたと言うSさんが私を、暖く出迎えてくれた。

鳴海さんは昨年も同行して頂いて良く知っている。
なんと今年は地元青森でタリズマンロッドと言うオリジナルバンブーロッドの販売をし出した。
このシャフトは私が担当しており、やはり鳴海さんもジーニアスロッドのとりこになった一人で、
特に、東北のフライマンに紹介していきたいと、力が入っている。

一方Sさんは事実上今年から渓流でのフライフィッシングをしたいと池田さんに弟子入りしたらしい。
今回は、皆の釣りを見たいと言うことで、道具一切を持たずの同行であった。

私は今回Sさんとはお初になるのだが、何故か不思議な人で、もう随分前から知っているような・・そんな全く飾らない
気さくで優しさがにじみ出ている様な人であった。

初日はこの4人で遡行することなり、各々に身支度を始めた。

今回も来春発売予定のハンサムボーイのテストも兼ねた釣行だある。
持参した新作テストロッドを、早々に池田さんに試してもらう。


大きい物で9寸以上はあったが、中々尺は越えない。。やはり秋田とて、大物は簡単ではなかった。


入渓地点はやはり魚の出はいまいちである。
3〜4つのポイントを様々な角度からアプローチし、その感触を確かめている。
細かいポイントから小さなイワナが顔を出すのでが、決して本命ではない。

しばらく歩くと長い瀬が現れた。
池田さんは「折角来たのだから釣ってください」と私にそのポイントを釣るように言った。

瀬の開きから7寸ほどのイワナが飛びつくが、生憎フッキングせず・・
引き続き流れ込みの流芯に同じ場所からプレゼンテーション。
丁度流れが穏やかになった辺りを流れた時、大きな水飛沫と共に大きなフライが消えた。。

秋田での最初の魚は、精悍な面構えのイワナであった。
尾びれも大きく、素晴らしいイワナは、図ってみると尺に少し届かない29センチであった。

その後全員が、数は出るものの、本命は残念ながら手にすることは出来なかった。

入渓して2キロ程釣り上がったところでこの川を後にし、もう1つの目的であった
イブニングポイントに向うことにした。

車を下流に走らせること十数分、このポイントも池田さんがフライを始めて最初に40ヤマメを釣った
思い出の場所だと言う。 当然今もそのポイントは健在で大いに期待できると言う。

車を停め、直線距離にして数十メートル。
かろうじて付けられた道を蛇行しながら降りて行く。

数が出たのはこのサイズばかり・・ やはり渇水が最大の原因であった。


ポイントに到着したのは丁度7時前だった。
水面を良く観察すると、小さいヤマメが時折ライズしている。
ロッドにラインを通し、リーダーを確認し、フッキング性能を高めたオリジナルのワイルドキャナリー
#10を4Xのティペットに結んでその時間を待った。

私が右岸から鳴海さんが左岸からそのポイントを攻略する。
直ぐに8寸程度のヤマメが釣れた。 続いて7寸イワナ。。

手を出すのが少し早かったのか、それ以来そのポイントでは釣れなかった。
池田さんの案内で、そのポイントの上流に移動した。
打って変わって、そのポイントは穏やかな流れで、開きで既にライズしているではないか。

流木が流れに刺さり、その向こう側で良いサイズのヤマメがしきりにライズしている。
手前の流れでライズするヤマメは仕留めたものの、あいつはちょっと厄介である。

時間は既に7時半を回っており、この大きなフライが見えなくなるのも時間の問題であった。
上手くプレゼンテーションさえ出来れば、フライに出すことは相難しくないはず。。

一か八か、難しい流れにキャストした。
上手く入ったが・・出ない・・ 
フライは見事に見透かされ、枝にフライがきつく刺さった・・
この日はそれで終わったのは言うまでもないであろう。

「二人の重鎮」

2日目、いよいよ岡崎の平岩氏と合流する日がやって来た。

お昼前に秋田空港に着くとのことだったため、私と鳴海さんは池田さんにお迎えを任せて
いずれ4人で釣り上がる予定の川の支流に入ることにした。

この川は昨年も訪れた非常に魚の濃い川である。
しかし・・ やはり渇水が最大の原因であろうか?
魚の反応はきわめて少ない。 絶対に出ないとおかしいポイントでさえ音無しの構えである。

先行者がいるのだろうか?  えさ釣りに抜かれてしまったのだろうか?
秋田をホームグランドにしている鳴海さんでさえ頭をかしげていた。

池田氏の弟子でもある鳴海氏。 そのスタイルはやはり師匠譲りである。

お昼を少しまわった頃、私たちは池田さん・平岩さんのお二人と合流し、本日のメインイベントの始まりであった。
しかし、目的の川は午前中の雨で、見る見るうちに濁り始め全く手が出せない状態であった。

仕方なく、川そのものを変えるため、大幅に移動した。



ここも昨年釣った通称「風の谷」である。

二人の重鎮の後姿。 前を歩くのが池田氏で、後ろが平岩氏。 後姿でさえ絵になるのは何故。。

今回、私自身 平岩さんの釣りを見せて頂くのは始めてである。
岡崎からわざわざ自分のロッドを持参したと言うのに、今回は半ば強制的にジーニアスロッドを持って頂いた。

私は、このハンサムボーイを初めて手にした平岩さんがいったいどのような感想を言うのか?
また、このロッドで一体どの様な釣りをするのか、非常に興味深かった。

しかし、私の見た光景は、全く自分の目を疑った。

平岩さんが狙っていたポイントは、浅く開けたポイントで近寄ることが出来ない
難しいポイントであった。

革新部までおよそ20ヤード。

なんてことだろう。 初めて手にしたロッドを意図も簡単に使いこなしているではないか?
しかも、ロングレンジで・・
バックキャストはビシッと一直線にベリーが伸び、スラックなど一切に入っていない。
プレゼンテーションも目的のポイントまで真っ直ぐしかも確実に飛んでいく。

その光景を見て改めて思い知らされた。

正にこれこそがフライフィッシングだと・・

スピードのあるループがポイントまで真っ直ぐに飛ぶ。 これこそがHS/HLである。

大小複雑に入れ替わるポイントを平岩さんは見事に釣っていく。
この人もやはり達人であった。
それもそのはずである。毎年この時期になると池田さんと共に秋田の渓を釣り歩いていると言う。
池田さんも認める 数少ないアングラーであることから、達人であることは間違いない。


川の水が少ないこともあり、釣れるのはイワナばかりであった。

この日もやはりパッとしない結果で幕を閉じた。

実は、今回私自身、釣り以外にもう1つ楽しみにしていた事があった。
それは、宿に帰ってからの宴会である。

池田さんや平岩さんたちが今日におけるフライフィッシングをどの様に歩んでこられたのか?
また、この秋田にまつわる昔話など・・

予想通り、非常に楽しい時間を過ごしたのは言うまでもない。


フライフィッシングを始めて以来、もう何回この渓で釣りをしたのでろうか。




「天国から地獄」

3日目の朝、残念ながら私は後2日間の予定を返上して、奈良に帰らなければいけない状況となってしまった。

と言うのは、2日目の夕方、川を遡行中にバランスを崩し、左足首を大きくぐねってしまった。
はじめは、たいした事の無い様に思えたが、座敷で夕食を摂っている頃から痛み出し、席と立つ頃には
もう左足が踏ん張れない状態であった。

一夜明けて、症状は最悪で、何かに掴らないと歩けない状態であった。
全く何てことだ・・ あと2日間もあるのに・・


本をただせば、この左足。。 実は春から怪しかったのです。。

川を遡行中左足首を軽くグネリ、痛くないものだからほっておく。。
また釣りに行ったとき、同じように軽くグネル。。

そんな繰り返しで、秋田で大事にならなければいいのだが・・・
と何と無く嫌な予感をしていたものであった。

まさか・・予感的中とは。

正に天国から地獄であった。。

やむを得ず、その日の一番早い飛行機で秋田を後にしたのであった。


と言うことで、私の秋田釣行レポートは、ここまでです。
今現在は、自宅で療養中でございます。

日に日に足首のハレは大きくなり、松葉杖が無いと歩けない状態で日々過ごしております。
当然、そんな状態であるから、ロッド作りも一時休業中でございます。

先生曰く、松葉杖が取れて、何と無く普通の生活が出来るまで約1ヶ月らしいです。
全く、インケツでございます〜〜。

で、ですね、聞くところによると、私が帰った後、結構釣れたらしいです。
最終日なんかは、尺モノ連発・・・だった様です。





あんまり悔しいから、今年もう一回秋田に行ってやろうかな。。。
この足が治ったら。





「フィールドテスト」



昨年より約1ヶ月早い秋田行きとなった今年も、ハンサムボーイのテストを兼ねた釣行となった。
特に今年は昨年と違って、アクションが決定しての最終テストゆえに、嫌が上でも気合が入る。

考えうる全ての事を形にしたと言っても過言では無いほど、精進し作った最終新化番だから
その結果が気になるのは当然の事で、沢山釣れるとか、フィールドが最高だとかは、正直 ハンサムボーイ
の結果が出てからでよかった。。

「いよいよテスト開始」

この日は生憎の雨模様であった。生憎とは身支度等の事を考えれば
濡れない方が良いのだが、いざ川に立ってしまえば、正に恵みの雨と喜ぶべきであろう。

今年は暖冬と言うこともあり、本来この時期はとうとうと湛える水量で
尺物が顔を出す最もエキサイティングな季節のはずが、打って変わって
渇水に悩まされていると言う。

しかし、この考えは魚を釣るためのものであり、ロッドをテストするには
全く問題ない状況だと言う。
思い描くロッドが形になると、自然と笑みがこぼれる。


池田さんは新しいハンサムボーイにラインを通し、その調子を見るため
身支度しているその場所で振り始めた。

「いや〜速いですね〜。前回の短所が直ってますよ」
「トルクも十分ですね! これ、いいかも・・・」

そんな独り言のような言葉を私は聞き逃さなかった。。
その言葉を聞いた瞬間、ほんの少しではあるが、肩の荷が下りた。。
しかし、油断大敵である。 道具はフィールドで使ってこそその本領を発揮する。
良くも、悪くも、原っぱで振っているだけでは分からないことが沢山あるのだから。。


前回、前々回と先に2本のロッドを池田さんに渡してある。
今回の持参ロッドで3本だ。

3本の内訳はこうである。昨年合格したサンプルと同じに作ったハンサムボーイが1本。
その決定したアクションのテーパーのまま、接着剤を替えた物1本。
そして、今回持参したバットを強くした物1本である。


最初のテストの場として選択した川は、秋田特有の流れではあるが、大小富に富んだポイントが点在し、
ロングキャストを有する場所、障害物を交わさなければ駄目な場所と、
正にテストをする条件を満たした川であった。

つまり、初日はトータル的評価をするために、一般的なフライフィッシングの出来る
川を選択したことは、直ぐに分かった。。

池田さんはしばらく新しいハンサムボーイを使い続け、私にこう伝えた。

「前回のグニャって感じが直ってますね〜」
「ティップも速いし、第一近距離がめちゃくちゃ打ち安い」

内2本は既にテスト済みであったため、その殆どが真新しい今回持参したロッドに集中した。

池田さんは、その新しいハンサムボーイをありとあらゆるポイントに、しかも様々な角度からアプローチしその性能を
確かめていた。

やはり池田氏はこのスタイル・・ 分かり辛いが白泡の切れ目まで15ヤード以上ある


今回テストに使ったラインはサワダのARラインで、
ラインシステムは、WF4Fラインに4X12ftリーダー。
ティペット部を約1ftほどカットし、そこに4Xティペットを約3〜4ft結んで、全長14〜15ftを使用しています。

3本のロッドを出来るだけ同じ条件にしてテストを行なったのです。

テスト結果は上々で、既に合格を出している旧接着剤の物と、実に甲乙付けがたい評価であった。


「テスト2日目」

この日は、岡崎市の平岩氏と合流する事となっていた。
平岩氏は愛知県岡崎市でフライスペース「カイト」と言うプロショップを営んでおられ、
流行り廃りに流されることは決してない、フライフィッシングの真髄を今も継承し続けておられる
日本でも、数少ない重鎮中の重鎮である。

平岩氏のバックループ。 初めて手にしたロッドで意図も簡単に投げきってしまう。



平岩さんの見解は、「どのロッドもそれぞれ個性があって良いな」
「ショートからロングレンジまで何のストレスも無く使えるね〜!」
「特にロングはこの大きなフライを付けて、しかも長いリーダーで、ほぼフルラインでしっかりターンしてくれる」
「バンブーロッドって、こんなに凄い物だったけ???」

中部の達人が私のロッドに驚きを隠せない様子であった。。

3本のハンサムボーイを入れ替わり立ち代りとお互いに使い合い、
それぞれの感想を加味しながら、この3本のハンサムボーイから真の池田浩悦ロッドを決定することとなった。



2日目に起した足首の捻挫が原因で帰ることを余儀なくされた私は、池田さん、平岩さん、鳴海さんにテストをお願いし、
朝一番の秋田発大阪伊丹行きの便で帰ることを決断した。

私が帰った以降、川の状態も良く良く釣れたのと同時に、様々なテストが出来たとの報告があった。

ありとあらゆる状況でのテストは1日や2日ではとうてい無理である。
少なくとも今シーズンテストを繰り返し、最終的にどのモデルを採用するかを決定いたします。
今回の3本は、どのモデルが採用になってもおかしくない出来で、出来ることなら全てをハンサムボーイとして
発売して欲しいとの弁もあったほどである。

このテスト結果は、また改めてこのページで報告いたします。
それと、完全にモデルが決定するのは9月頃だと思います。

コスメも決定し、残すは9月の採用ロッドの回答だけである。


もう既に決定しているのは、予約期間を限定し、制作本数も15本と定めています。
これは、ハンサムボーイに使用いたします竹の確保、またそれに付随するパーツの製作等、
年間に15本が限度だからです。

予定通り事が進めば、10月には予約を開始いたします。
予約期間を定め、15本に満たされた時点で予約期間は終了いたします。
また、万が一予約期間中に15本に満たない場合は、期間中の予約本数で打ち切ります。

ご予約いただきました皆さんの商品お受け取りは、翌年の3月頃を予定しております。
これは、商品として年内中に完成させておき、約3ヶ月間、接着剤や塗料等、初期の管理を私自身で完了した状態で
皆様にお使い頂こうと思っております。

一振りするだけで、フィールドや魚のイメージが自然と湧いてくる。

正に究極のドライフライロッド。。

それが『Master-PaPa』 HandsameBoy 池田浩悦モデルです。




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 No10        最終テスト     2007.6.5

シート金具は、特別に削りだされたペゾンタイプが採用となった。

今年の4月に接着剤を変更したハンサムボーイを池田さんに送って以来、
秋田では、池田さんによる様々なテストが今もなお繰り返されています。

面白いもので、全く同じテーパーにも拘らず、接着剤を替えるだけで随分と性格の違う物になる。
この事実は、やってみないと分からないもので、私自身も随分勉強になった


さて・・肝心のテスト結果はというと、若干バットが早い段階で曲がりすぎる傾向がある・・との事!
以前の接着剤では感じなかった事が、今回それに替えたことにより出た症状であった。。

この辺がやっぱり「達人」である!

4月に私自身がテストした時には、あまり感じなかったのだが。。

度重なる池田氏との打ち合わせで、新しい接着剤でもう少しバットを強い物を作ってみる事となった。
またそれに加え、ちょっとした裏技的スパイスを効かせ、テストロッドとして新たに組み上げる事にした。

旧接着剤のメリットと新接着剤のメリットを融合した物が出来ないものか?
全く欲張りな考えであるが、良い物を作る上で、大切な事であるのは言うまでも無いであろう。


私には、ある秘策があった。
これでダメなら、この接着剤は諦めざる得ないと言う位の秘策である。

私はこの秘策を具現化し、新しい接着剤でのテストはこれが最終と決意した。

このことに関しては、池田氏も納得の上である。


そうして出来上がったのが、上のモノクロ写真のロッドである。


様々なテストの結果、最終的に2タイプの形状が残り、結果左の形が採用と成った。

出来上がったアクションは中々の物であった。
以前の物よりバットはかなり強くなっているし、ティップの返りも速い。。

それでいて本質的なアクションは変わっていない。

ここが肝心である。 バットを強くすることで、基本アクションが変わったのでは、元も子もない。
つまり、“強い”と“硬い”は違う物であり、世の中ではどう言う訳か同じに解釈している方が結構いる。

まぁ難しい話はいずれまた・・としましょう。

兎に角池田氏が求める究極のドライフライアクションを、何とか出来たのではないかと思います。
あとは、池田氏本人にテストをしてもらっての最終回答をもらうだけ。


コスメに関しても変更がなされ、以前のリールシート金具から
ニッケルシルバーから削り出したペゾンタイプに変更し、その出来栄えの素晴らしさに
池田氏も即納得・・!


この新しく出来たロッドを持って9日から秋田に行ってきます。
今回の日程は、9日から12日までの4日間。

10日には、岡崎在住の平岩氏とも合流し、テストand楽しい釣りが出来ればと思っています。

4日間の秋田釣行レポートはいずれまたこの場所で・・・





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 No9     釣行レポート その1     2007.5.14

「鳥取」
今年も鳥取の川は、素晴らしい渓相で私達を迎えてくれた。

GWに友人U氏と今年も鳥取に行ってきた。
今年は、各地で暖冬が問題になり、雪国では雪が降らないことからこの時期に渇水の心配がされていた。

鳥取も例外ではなく、大山の頂には殆ど雪がなく河川も何処となく水位が低いように思えた。

今年もガイド役は“三朝の細川たかし”ことM氏が3日間の私たちの釣行に付き合ってくれた。


「釣行1日目」

深夜に関西を出発し、ちょっと控えめな運転で約3時間半・・
午前4時前にM氏との待ち合わせ場所に到着。。

この時期の入渓は午前8時頃であるのだが、高速を利用する釣行はETCを使用すると深夜は割引があるので非常にありがたい。 
M氏との待ち合わせにはかなり早いが、割引を考えるとどうしても早めの出発を選択をするのは当然のことだろう。

車中夢うつつの中、携帯電話が鳴り響く。。

M氏からである。 家を出たとの報告であった。

電話を切ってから10分ほどでM氏が到着した。

今回のメニューを決めるため、しばし3人は審議した。。
と言っても、その殆どがM氏の考えに基づくものであるのでが・・

CS32の#10に巻かれたワイルドキャナリー。 今回の釣行は殆どこのフライでとおした。

初日の午前中は以前から目を付けていたポイントに入ることにした。
私自身もその場所は聞いてはいたが、入渓は今回初めてであったので、非常に興味深かった。

そのポイントは全体的に浅い流れで形成しており、非常に開けた渓相である。
一見にして、誰が見てもこの区間は敬遠するであろうと言う流れである。

しかし、入渓して最初のポイントから7寸ほどのヤマメが10番のワイルドキャナリーに猛然と襲いかかる。。

フライサイズが合ってないと見て、ヤマメの出方が異常に早い。。

しかし私はフライサイズを落とす事はしなかった・・ 
あくまでも狙いは尺ヤマメ・・・ だからだ。。

全体的に浅い渓相とは言え、それなりに良いポイントからは必ずそこそこのヤマメやアマゴが飛び出す。
同行のU氏がこの日一番のヤマメを複雑な流れから引きずり出した。
12番に巻かれたライツロイヤルが誇らしげにヤマメの口元を飾っている。

大物は出なかったものの、初日の午前中としては、まずまずの釣果であった。

やがて、日が肌に強く射しだす頃、それまでとは明らかに反応が悪くなった。
と同時に、われわれにも睡魔が襲いかかった。。

後はご想像通り・・

U氏が釣り上げた初日1番のヤマメ。。 大きさの割りに体高のある素晴らしい魚体であった。


「2日目」

自ら“イワナ尽くしDay”と名づけ、今日はイワナをいっぱい釣ろう・・!
3人は疑う事無くイワナの川に向った。。

この川は昨年のイブニングで尺イワナを釣っている私にとって幸運の川である。

今回は、車止めから10数分歩いての入渓である。
下流部でも十分に楽しめる川ではあるが、時間がたっぷりあると言うことと、
なんと言っても渓相の素晴らしさが、私たちを誘導する。

この素晴らしいフィールドに相応しいイワナと出会いたい。

私はやはり、小物はいらない!とばかりにハックルをビッチリ巻いた10番のワイルドキャナリーを
4Xのティペットに結び、釣り続けた。

今回は、沢山の魚の集合写真を撮りたくて、鮎の生かしビクを腰からぶら下げ、
一見して、とてもスマートなフライマンとは言えないほどの井出達である。。
しかも、手にはジーニアスバンブーとデジタルビデオカメラ・・
今回ビデオカメラを持参した理由は
いずれまたこのサイトで私の釣シーンを動画でご案内するためのネタ集めに持ってきたものである。


やはりこの川は期待を裏切らない。。

入渓して直ぐにイワナが釣れる・・

また次・・また次・・ そしてまた次・・・

この界隈では人気スポットである。
昨日はきっと何人かの釣り人がこのコースを歩いているのに違いないはず。

にも拘らずこの出方は凄い・・・

今年もやはりイワナの宝庫であった。。

一番大きいもので8寸強を筆頭に数匹のイワナを生かしビクに入れ、私達はご満悦であった。。

時間も頃合を向え、そろそろ集合写真・・

生かしビクの水を無くし、少し可哀想であるが、少々酸欠状態にしておいてから
あらかじめ作っておいた、小さな堀にイワナを放す・・

私の計算では、頭を揃えておとなしく、しかも行儀良く並んでじっとしているはずであった。
しかし、酸欠状態が足りなかったと見え、1匹が暴れ出すとつられて数匹がバシャバシャ・・

イワナって歩くんですよね〜〜 それを忘れてた。
慌てても後の祭り・・

結局残ったのは可愛いのが2匹・・
それがこの写真・・ 全くトホホ・・でした。。
欲をかいて普段しないことをしようとするとこの結果・・でした。

「最終日」

泣いても笑っても今日が最終日。。
前両日共にイブニングでの大物を期待していたのだが、目的の大物ポイントは残念ながら空振りに終わっていた。

私たち3人は、初日に良かった川をもう一度釣り上がる事にした。
入渓時間は初日より少し遅めのスタートである。
川の様子も少し違う。 初日に比べて数センチ水量が下がっている。

初日が嘘のように反応が無い。

そこで私は、何としてでもヤマメの顔を見たくなり、思い切ってティペットをそれまで使っていた物より
細くし、加えて長くして釣る事にした。

最近では珍しい、全長で18フィート以上はあるはずだ。
問題は、この長く細いティペットに結ぶフライである。
まかり間違っても、今まで使っていたワイルドキャナリーは使えない。。

近年の私は、世間でもてはやされているパラシュートやソラックスといったフライは
とんとご無沙汰であるし、フライボックスにも存在しない。。

困った・・

そうだ! 一つだけあった!!!

テレストリアルパターンを収納してあるボックスに2〜3個以前巻いた#10のコロラドキングがあるのに気が付いた。
私のコロラドキングは、オリジナルのそれとは違い、
形はコロラドキングではあるが、ハックルはブラックでボディーがピーコックで巻いている
夏のテレストリアルパターンである。


そのフライを異常に長いティペットに結び、再び開始した。

するとどうだろう。。 長いティペットは何時までもフライを自然に流す。。
ティペットが切れてしまったかな??と思わせるぐらい。。 何時までも・・

全く正直なものである。 フワフワと何時までも自然に流れるフライにヤマメが飛びつく。

改めて、ロングティペットの凄さを思い知らされてしまった。。
水量の低い川では遠くから静かにアプローチして釣る。そして、長い距離のナテュラルドリフトを心掛ける。

苦戦はしたものの、三者三様それなりにヤマメを釣ることができた。

最後の期待はイブニングである。
友人U氏の希望もあって、イワナの宝庫であるN川でイブニングをする事となった。

と言うのは、本来本命にしていたポイントは2日間にわたってことごとく裏切られていた。
雨でも降って水量が増えない限り、期待することは出来ないと判断したので、U氏の希望に逆らう者はいなかった。


N川に到着したのは、午後4時過ぎであった。
イブニングには少々早いこともあり、私たちは普段よりゆっくり釣り支度をし、個々に入るポイントの選択を話し合った。

U氏がこの川でイブニングをしたいと言ったこともあり、U氏に先ず好きなポイントを選択してもらった。

釣る場所が決まると、大物の健闘を称え各々に入渓し、イブニングの開始である。

私が選択したポイントは釣る距離が非常に短いため、他の2人の邪魔にならない別のポイントで
時間つぶしに釣る事にした。。

丁度時間は5時を回った頃である。

私は、午前中に使用していた長く細いティッペットを切り、元の4Xティペットに付け替え、
お得意のワイルドキャナリーを再び結んだ。

このワイルドキャナリーは、特定な条件下で使用するちょっとした私のオリジナルで
軽さとフッキングの良さを両立させた特別仕様のフライである。

入渓して直ぐに8〜9寸のイワナがバッサリと大きなフライをくわえてくれる。
日が西に傾き始める少し前、いかにも大物が住みそうな流れに出くわした。

私は、ポイントの肩の部分を慎重に釣った。
すると、今までとは比べ物にならないぐらいの魚体がまるで潜水艦のように浮き上がってフライを吸い込んだ。。

してやったり!とばかりに合わせをくれてやる。

しかし・・

無残にも僅かな感触を残したまま、フライが中を舞った・・

全く、なんて事だ・・

よりによって合わせが早すぎるとは・・・
愕然とした気持ちを抑えながら、その現実を受け止めた。
本命ポイントまでのをウォーミングアップのつもりで入ったポイントで、思わぬお年玉を頂ける所だったのに・・

時間は、6時を僅かに回っていた。
本命までにあと2〜30分ある。。 どうする?
そんなことを考えながら、先ほどバラシたポイントにフライを流し続けた。。

同じポイント内ではあるが、今度は僅かに上流側からフライを流してみた。
何投ぐらい流したであろうか?
白泡が切れたあたりをフライが流れた時、またまた潜水艦が浮き上がった。。

明らかに先ほどとは違う魚体であることは直ぐに分かった。
大きく口を開け、水と一緒にワイルドキャナリーを吸い込んだのがはっきり見えた。
一呼吸置き、私は大きくロッドをあおった。
すると今度は確実にフッキングしたようだ。

ポイントが小さいこともあり、フッキング後のやり取りは思った以上に素直に寄ってきた。
ネットにすっくって良く見ると体長はあるものの、少し痩せたイワナであった。
痩せているから余計に長く見えたが、図ってみると34Cmであった。

少し痩せた34センチのイワナ。 水量が少なくえさに乏しいことを物語っているようだ。

すっかり気を良くした私は、本命ポイントに急いで入渓した。
このポイントは、過去に40オーバーが出ている超A級ポイントである。

しかし、期待は虚しく出るのは小物ばかりであった。

こうして、3日間に渡る鳥取釣行は幕を閉じた。

肝心のU氏は尺は出なかったものの、8〜9寸がいたる所でヒットし、目的のポイントまで行き着けなかった。。
と、たいそうご機嫌であった。。

やはり鳥取は今年も健在であった。
欲を言えば、ヤマメの良いのが欲しかったところである。
その年の状況にもよるが、今年は少し遅かったようだ。
あと2週間・・いや、1週間早く来れたら、本流の水位も十分にあり、ヤマメの良いのが期待できたと言う。


しかし、勝負は時の運。。
今回も沢山の魚を釣らせてもらった。

やっぱりフライフィッシングは面白い。。

この素晴らしいフィールドが限り無いことを願う。
そして・・フライフィッシングの真髄を見失う事無く更なる成長を願いたいものである。












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 No8        レストア・その2     2007.4.19

NO6のレストアの話の続きです。
前回は、ブランクの再塗装を含め、ガイドの付け替え等、そのメニューは存在している
ロッドを、手直しして元のペゾンに戻すというレストアでした。

しかし、今回は破損してしまったティップを新規で作ると言うお話です。

ティップを新規で作成したPPP以前のペゾン。 その性能は、既存物となんら変わりないという評価である。

このロッドは、私の友人でもあり、良きライバルでもある鳥取のM氏のロッドである。
2006年の「独り言」で鳥取の記事で度々登場するM氏が今回の依頼者である。

実はこのロッド、今回が初めてのレストアでは無く、以前ガイドの付け替えをしているロッドであった。
納品後、小規模なフィールドで度々使用していたらしいが、運悪くティップを折ってしまったらしい。

M氏は考える事無く私に連絡を取った。。
ペゾン・・レストア・・次に連想するのはジーニアスだったらしい。


丁度昨年のシーズンオフ寸前であった。

M氏「この前のペゾン・・折れちゃったんだけど、直ります??」

私「完全に縁切れた・・?」

M氏「うん!完全に折れちゃってます」

私「フェルールは?ある?」

M氏「あります!あります! 丁度トップから2つ目のガイドのところで“プッツリ”いってるんです」

私「確かシングルティップだったんじゃなかったっけ?  それ・・」

M氏「そう!そう! だからどうしようかなと思って・・」
「最後の頼みは新藤さんですから・・」

私「しょうがない・・ティップ新規で作るわ!」
「大体のアクション覚えてるし、作れるでしょう・・」
「でも少々高くつくよ〜〜!」

M氏「じゃ〜お願いします。 ただし直ぐにはいりませんから」
「来シーズンに間に合えば十分なんで、ゆっくりしてください」

私「了解です! 精進して掛かります! ペゾン様ですからね!」
完全に折れてしまったペゾンのティップ。 記憶の中のアクションを頼りに新規製作のプロジェクトが始まった

今回のレストアは、ティップの復元である。
かの有名な、ギャリソンの本では、縁が切れてしまったティップを元に戻す手法が紹介されている。
確かに、合理的で確実に2本に分裂してしまったティップを引っ付けるには最適である。

しかし、ペゾンにはその簡易的な手法は全くを持って通用しないと考えています。
つまり、形は元通りでも、ペゾンその物の性能を考えた場合、正しい選択とは決して言えないからです。

ペゾン・エ・ミッシェルは、ペゾン・エ・ミッシェルであるべきだと考えるからです。

実は、この「独り言」のNO6でレストアのことをお伝えして以来
少数ではありますが、レストアのご相談を何件か受けております。

どの方も皆、手に入れられたペゾンは、誰かが使用していたもので、当時、ペゾンの塗装が薄いからと言って
自分で、塗料を塗り足したり、スレッドがしっかりしていないからと言って、ボテボテにタッチアップしたりと
見るに耐えない状態の物が多いようです。

実に残念な話です。。

ペゾンの本質的なことが分かっている人であれば、決して自分で手を加えないですよね!

レストアをお預かりしていますお客様がこう言って私を笑わせてくれました。

「厚塗りは、嫁と飲み屋の姉ちゃんだけでいいです!」・・・と

ちょっと“プッ”と笑ったでしょ!

しばらくしてから、また思い出して笑いますよ・・この言葉。。

左が新規製作のティップ。真ん中と右が折れてしまった既存ティップ。
正確に言えば、完全に復元した訳ではないが、折れたものを引っ付けるよりは数100倍ペゾンに近いはずである。


話が横道に反れました。 本題に戻しましょう。

では、どのようにして折れてしまって見本の無いティップが、それと同じ物を作れるのか?
その辺を、少し分かりやすく説明いたしましょう。

本来それに類する物を作る場合、見本となる物があり、その見本のデーター取りをし
そのデーター・・つまりテーパーということになりますが、その通りに削れば元通り!
これが最も一般的です。
確かにこの手法は、数字の上では、同じ物が作れます。

しかし、ペゾンの場合いくら見本のテーパーが取れたとして、そのデーターを
一寸の狂いも無く作ったとしても、あの独特なアクションは絶対に真似出来ないでしょう。

先に述べた一般的な手法は、一般的と表現しておりますが、本質は全く違う物であり
真似をするしか方法を知らないから、一般的と勘違いしているだけのことなのです。


ペゾンを知れば知るほど、その仕組みが分かってきます。
そしてあの独特なアクションを作るための糸口が見つかります。
詳しくは残念ながらお伝えできませんが、ロッドアクションとはこんなに単純な考えから成り立っていることを
ペゾンを通じて知ることが出来たのです。

自分が目指すロッドアクションの確立は、基本設計が出来ていることを意味します。

つまり、私の場合はペゾンですが、パラボリックの仕組みを根本から理解することが出来れば
同じ作用をするティップを作ることはそう難しくないのです。

この同じ作用をするということが肝心で、同じテーパーで真似をする事とは大きく異なります。

当時の竹や接着剤、またその物が作り上げられる過程において、全てを真似るのであれば
当然納得の行く作業と考えます。
しかし、自分が生まれるよりはるか前の手法や製法は決して真似ることが出来ないはずです。

新たに考え抜かれた独自のテーパーから、ペゾンの既存するアクションに類する
データーを選択し、既存の物と独自の物の類似点を探す方が最も合理的で
かつ正確な物作りが行なえると考えております。

こうして作られた、ペゾン風ティップは、M氏の元に戻され、
鳥取と言う素晴らしいフィールドで、その出番を待っているはずです。

その時が来るまで・・・


ps:M氏は現在 GeniusParabolic“Crimson−Beauty”7’6”#4 2007バージョン
をめっぽう気に入って使ってます。。

余談ですが・・・・



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 No7        遂に・・!     2007.4.17

池田浩悦ロッドは、究極のドライフライロッドであり、今までに味わったことの無い素晴らしさを伝えてくれる。

『更なる進化を・・』

昨年Mastre−PaPa「HandsomeBoy」池田浩悦モデルの発売延期を表明して以来
もうこんな時期になってしまった。。

延期表明の折、試してみたい材料があるとお伝えいたしました。
その材料とは、接着剤のことで、私の中で確信が持てなかったので昨年の延期表明ではお伝えしませんでした。

しかし今現在、明らかな進化が具現いたしました。

今までのスピード感はそのままで、より一層のトルクを纏い、正にバンブーロッドここに有り!
と言わんばかりに、パラボリックアクションの素晴らしさを強調することに成功いたしました。

昨年、池田さんとの打ち合わせで、どうせ新しく作るのだから、既存よりちょっと・・ほんのちょっとティップの強い物を
一本追加で作り、それも同時にテストしたいと持掛けた。


そして・・・
今年1月 遂に新しいハンサムボーイが出来上がった。。
既存のティップナンバーをNO.1、少し強いティップをNO.2と記載した新しいハンサムボーイの誕生である。


池田さんに送る前に、私自身の感触を聞かせて欲しいと言う事もあり、
 出来上がりから丁度3ヶ月が経過した4月の始め、私は地元の河川へ、テストを兼ねて釣行に出掛けた。

『予想を上回った素材』

テストに選んだ河川は車を停めてから容易に川原まで降りれる為、ロッドにラインを通し
直ぐにキャストが出来る様用意し、少し早足で川原に降り立った。
最初にNO.1のティップを選択してのテスト開始である。

リールからラインを数回引き出し、スネークガイドに掛けてあるフライを外す。

先ずは、ショートレンジでのアプローチである。
10ヤード前後の距離である。

第1投目に入る前、フォルスキャストにより欲しいだけのラインをロッドから出すのだが、
この最初の1振りで、以前の物とは明らかにトルクが違うのに気が付いた。

4X12Fのリーダーに5Xティペットを約1.5m継ぎ足し、その先端に結んである#16のワイルドキャナリーが
まるで誰かに誘導されているように、ポイントに向って滑る様に飛んでいった。。

私は、この一振りで、“これだっ!”と確信した。。


ポイントまで約20ヤード! 的確なラインで意とも簡単にアプローチしてしまう。

素晴らしい!!

自画自賛するようだが、私が求めていたトルク感がしっかりと伝わってくる。。

15ヤード・・20ヤードとその距離を伸ばすにつれ、ハンサムボーイの本性が出てくる。
クサビ形の先端が尖ったループが足元のラインを引っ張って行く。

更に、そのループは力尽きる事無く、水面とほぼ平行に加速し続ける。。

これが、4番のロッドか???と思わず発してしまう。。

全身から久しぶりに厚い血が“ドクドク”と流れているのが分かる。。

接着剤を替えるだけで、これほどまでに違うのか・・・
私は、その事実に驚きを隠せなかった。
正に想像を絶する効果であった。

動きに制限があるバックハンドキャスト、最小の力で最大の性能を発揮する。これぞ真のパラボリックである。


『プロユーズなNO2ティップ』

既存ティップであるNO1は十分に堪能した。残すは、NO2ティップである。

正直、NO1ティップをテストして思ったのは、もうこれで十分凄い・・と言うことであった。
つまり、これ以上のロッドは必要が無いと私自身の見解であった。
しかし、そうも言ってられない。。

ポイントを変えることにした私は、同時にNO2ティップに変更した。

NO1ティップでの驚きが続いている状態でのNO2テストであるのだから
そう度々驚くことは無いと思っていたのだが・・・・

ミドルからロングにかけてのループコントロールはNO1を完全に凌いでいる。
ティップをほんの少し強くすることで、ロッド全体にそれまでより更にトルクが出、
ループ先端が丸く、ゆっくりとしたラインでも一切失速する事無く20ヤード先のポイントにアプローチできる。

一方、先端が鋭利に尖り、そのループを目で追うのもままならないほどの速いラインも
自由自在であった。

バックハンドキャストでも、優位に働き、ほんの僅かな力加減で遠投が出来てしまうことは
動きが制限されるバックハンドでは、実にありがたいものであった。


この事実は、私に2度もの驚きと、感動を与えた。
何度でも言おう・・ 自画自賛と言われても・・
本当にこの素晴らしいロッドを自分が作ったとは・・

テストを終え、この嬉しさを池田さんに伝え、早々にロッドを送った。
数日後、池田さんより「素晴らしい」との朗報が届いた。

しかし、池田さん曰く、NO2ティップを使いこなして釣りをする人は、正に達人の中の達人ですね!
本来NO1ティップで十分でしょう。。

そんな回答が返った。。 


今年も6月に秋田に行くことにした。
その結果次第で、NO2ティップの販売も具体化するはずである。

販売まであと少し・・・・
皆様に感動と驚きを与えられる日は近い・・・




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 No6        レストア     2007.3.22


数日前、ペゾンをレストアして欲しいと依頼があった。
正式にペゾンのレストアを宣伝していないのだが、ちょこちょこ依頼が来る。。

今回のモデルは、「パワープラス」だ!

よく見るとこのペゾン、誰かの手によって既に手直しがされていた。
しかもガイドバーニッシュはエポキシを使用しており、随分コッテリと塗料か施されていた。
依頼者によると手直し以来、アクションが変わったようでずっと気になっていたらしい。

それもそのはずである。 ペゾンは本当は繊細なロッドなのに、こんなに塗料を塗ってしまったら大変である。

依頼者は、元のパワープラスに戻して欲しいと私に全てを託してくださった。

お任せください! 得意中の得意です!!

そんなわけで、このパワープラスは本来の姿に戻るための手術が始まった。。


今回はブランクも再塗装しなければいけない状態だったため、ガイド類は全て取り外し、
ブランクにはグリップが付いているだけの状態にした。

当然ペゾンの象徴であるトリコロールカラーも全て外した。

裸にされたブランクを丁寧にサンディングし特殊な方法を用いて極薄に塗装をする。
ここで、美しさを求めるため厚塗りしてしまうと、NGである。
厚く塗ると、ペゾンの本来のアクションが損なわれますからね・・




ブランクが出来上がれば、ガイドを元の正確な位置に付けていきますが、
問題は、スレッドとそこに塗られる塗料のガイドモーメントである!

以前はペゾン純正のスレッドをストックとして持っていたのだが、数多いレストアで使い切ってしまった。
今は、ペゾングリーンとほぼ同色の糸を使っているが、純正に比べて少し太いのである。
この太さは、ちょっと厄介で、ほんの僅か太いだけでも、同じ位置に同じだけ巻いた場合
確実に、目方が増える。。ましてやその太いスレッドに塗料が染込むのである。。

そこで私は、ペゾン純正で行なわれているWラッピングを行なわないことにした。
ペゾンはよく見るとガイドの足の付け根に今まで巻いてきたスレッドをほんの僅か折り返して二重に巻いている。
これは、ガイドの留め補強で、足の付け根部分だけ二重に巻くことにより目方を軽減でき、同時に経年変化による
ガイドの緩みや、はずれを最小限におさえる事ができる優れた手法である。

これを今回は全て一重巻きで処理してしまう方法を用いた。

こうすることで、ガイド1個あたりの目方を軽減でき、本来のアクションに戻すことが出来るからである。

当然そこに塗る塗料の量も慎重に行なわなければならない。
“もっこり”と塗ってしまっては元も子もない。。
爪を立ててスレッドを擦ると糸目が爪に当たる程度で、しかもしっかりと塗面が光っている!
これが、最も理想で当時のロッドを復元するための技術である。

塗面は極薄でも乾燥後の硬度が非常に高い物を使用し、少ない回数で塗ることにより、理想の仕上げにしていくのです。

こうして出来上がったロッドは、再度命を吹き込まれ、後10年、20年とオーナーの右腕として
その役目を果し続けていくことでしょう。。

海を渡って遥か彼方から日本にやってきたロッド・・
今、日本の材料によって新しく生まれ変わったパワープラス!
我が国の風土を考えた場合、やはり我が国生まれの材料で生まれ変わるべきであろう。

この日本で使う限り・・・




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 No5       コルクの効果     2007.3.7

「コルクの話」

質が悪いと敬遠されるグレードだが、パラボリックにはこのグレードが必要不可欠である。


思い起こせば、丁度去年の今頃・・コルクの話を書いた。
その内容は、リールシートはコルクが良いのに・・そんな内容であった。

今回のコルクの話は、グリップに関するコルクのグレードについて聞いて頂きましょう。

一般的知識としてバンブーロッドには、最高級のコルクが当たり前の様に付いていて、
虫食いやシミ一つ無い真っ白で透き通るような綺麗なグリップ。。
細身に削られた白魚のような?グリップが“いかにも”って感じで主張していますよね!

しかし、ここ数年前からコルクの価格は信じられないくらい高騰し、われわれビルダーがそう易々とグレードの高い
コルクばかりを、商品に使えなくなってきたとあちこちで、言われています。

どのビルダーさんも商品のクオリティーを維持するのに大変苦労しておられる様です。

で・・・当社は言うと、ハイクオリティーなコルクは使用しておりません。。
いや!正確に表現すると、使わないのではなく、使えないのです。

値段が高すぎて手が出ない・・ う〜〜それも無いことは無い。。
日本一ビンボービルダーですならね〜〜私は。。

いやいや!一番大きな理由はアクションを損なうからなんです。

コルクの品質によって、アクションが変わるって信じられます?
事実、そうなんです。
これは、当社ジーニアスパラボリックに関してですが・・

数年前、友人がペゾンのグリップに関しての連絡があり、よく聞くとそのペゾン、
ヨーロッパ仕様で、グリップはやたらでっかくて太い。。
そこで、グリップを全て取り替えて欲しいとの依頼である。
私も2〜3度振らせてもらったことのあるロッドだったので、そのペゾンはよく覚えていた。

ペゾンをよく知っている方ならうなずいて頂けるでしょう。
お世辞にも質のよいコルクが付いているとは言えない事を。。

そこで私は、どうせ取り替えるのであればハイグレードコルクを付けてやろうと
実に美しいグリップに仕上げた。
本人に渡すと「ペゾンじゃ無いみたいに綺麗だ」と喜んでくれた。

数日が経ち、その彼とキャスティング練習でもしようということになり、
各々にロッドを持ち寄り、練習を開始した。
数あるロッドの内の一本は、先日レストアしたペゾンである。
早々にそのペゾンを振らせてもらって気が付いた。
何かおかしい・・ グリップを通じて話しかけてくれない・・
そして、グリップが曲がっていない・・

こんなことってあるんだろうか??
コルクの質でアクションが変わるって・・
でも実際に変わった・・ 確実に変わった・・

通常、よく出来たパラボリックとは、キャスティングにおいてグリップを通して語ってくれる物である。
いま一番パワーが乗ってるよ!とか、もう少し押し込んでも大丈夫だよ!・・とか
なんか、オタクっぽい話に聞こえるかも分かりませんが、話しかけるんですよ・・グリップが。。

それ以来、パラボリックにはハイグレードコルクは使わない事にしたわけです。

この話は、もう9年ぐらい前の出来事です。。

輪切りになっていたリングがグリップとして生まれ変わる。 以来人の手に握られ、形ある限りその役目を果し続ける。



ジーニアスロッドには、フロアーグレードと言われる品質の物を使用しています。
硬すぎず、軟らかすぎず、グリップの中までアクションを出しているロッドには実に具合が良い。
ただ一つ問題は、虫食いも多くあまり綺麗ではないことです。

通常ファイブスターと言われるコルクが最もハイグレードです。
このコルクは目が詰まり、虫食いが非常に少なく、シミなどは一切無いとても綺麗なコルクです。
しかし、アクションの事を考えると、この良質が妨げになるのです。

中には、「良いコルクでお願いします」って注文が入ることもあるのですが、
全て、お断りしております。。

確かにバンブーロッドたるもの、美しくなければいけないし、高価な物だけに
高級なパーツが付いていると、嬉しいのも十分理解しています。
しかし、アクションを損なってまで、美しさを求める事は、どうしても出来ないのです。

ブランド物に身を包み、瞬きすれば吹き飛ばされそうな付けまつげ・・
10メーター離れた所からでも分かる香水の匂い・・
よくいるよね、そんな女・・

中身があればいいけど、馬鹿なことを恥ずかしげも無く口にする・・

見てくればかり気にして、中身を見失っていることは、
人も、ロッドも何の魅力も無いと思いますが・・・・ いかがでしょう。。

ちょっと愚痴っぽい話になってしまいましたね。  すみません。

このフロアーグレードを採用することにより、価格も抑えられ、私にとりましてはありがたい事実です。
価格が抑えれられると言っても、コルク全体が高騰しているので、数年前に比べると
相当高くなってますが・・ でも一番良いものから考えれば、随分経済的ですけどね!。。

2007年より変更されたリールシート。コルクは、あらゆるリールを確実に止めることが出来る優れものだ



「リールシート」

結局今年も最終はリールシートの話になってしまいます。

昨年から色々と考えた結果、 2007年度よりパラボリックシリーズの全てのリールシートを
C&R(カップアンドリング)のコルクフィラーに変更いたします。
当HPでは、諸々の事情によりまだ古いデザインが載っておりますが、事実上上記写真のような形状に変更いたしました。

従来のウッドフィラーやスケルトン(ねじ式)の金具につきましては、オプション扱いとさせて頂きました。
オプション等、価格につきましては、ご相談ください。

様々なリールを理想的にフィッティングさせることを考えた場合、
やはり、コルクが一番です。
しっかりとリールが止まりますから、釣りをしていて落とす心配が無い。
だから、釣りに集中できる。。

また、私なんかそうなんですが、グリップの一番下の細い部分に小指が来
リールシートとの繋ぎ目に手の腹があたるように握ります。
ロッド全体を使いたいための握り位置なんですが、私のような握り方をしても
リールシートがコルクでグリップの延長のような役目をいたしますので、全く違和感の無い握りを確保いたします。

また、リールシートの直径にも一工夫し、太すぎず、細すぎない太さで調整しています。

ジーニアスロッドを使って頂いて初めて、何故このコルクグレードなのか・・
何故、リールシートもコルクなのか・・をご理解いただけると思います。

利き腕の延長としてロッドを使うためには、全てのパーツに存在意味があるのです。
少なくとも、ジーニアスロッドには・・・


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 No4       パラボリックな話  その3   2007.3.2

ライン、リーダー、フライと自由自在にコントロール出来ることが、ロッドとしての宿命である

「ワンアンドハーフの効果」

パラボリックバンブーはよく「ワンアンドハーフ」と言うティップとバットの仕舞寸が違うロッドが多い。
例に洩れず、ジーニアスロッドも殆どがこの「ワンアンドハーフ」で構成されています。

パラボリックアクションを出す上で、実はこの「ワンアンドハーフ」は不可欠であり
あの独特なパワーとトルクの源となっているのです。


では、この「ワンアンドハーフ」の秘密を少しだけ皆さんにお話いたしましょう。

私が追求するパラボリックアクションとは、『曲がるのにティップの返りが速い』ものです。
なるほど!!  と読む無かれ・・!
それは、曲がるのにティップの返りが速いのは、全く矛盾のかたまり・・だからです。

つまり、曲がると言う事は、復元スピードが遅いことを意味し、それに反してティップの返りを速くすることは、
誰が聞いても、意味不明であり矛盾としか言いようの無い論理である。

この矛盾の論理を実に見事に解決してくれる
非常に優れた理論が「ワンアンドハーフ」に存在するのです。

「返りの速さが宿命」

何故、ティップの返りを速くしないといけなのか?
答えは簡単。。 遅いのはダメだからです。
速ければ速い方が優れており、ロッドとしては非常によく出来た物となります。

ティップが速く返るとは、ロッドその物の性格であり、アングラーが速く振る事とは大きく異なります。
速く返るロッドは、意識的にゆっくりと返す事は可能です。
手首の開閉を滑らかにかつゆっくりと、しかもコンパクトに振ることにより、ロッドはティップ中心のメカニズムとなり
放出されたループはシャープでありながら、目で追えるぐらいゆっくりと展開いたします。

この行為は、あくまでもアングラーが自ら演出しているわけで,
スローテンポなロッドを求めているものではないのです。

アングラーがその時々の条件に適したキャストやプレゼンテーションを要求するのは常で、
速くも、遅くも自由自在に振ることが出来、その要求に応えてくれなければ、そのロッドはその人にとって
何の役にも立たないことになってしまいます。

このティップの返りが速いことは、フライロッドをしかもバンブーで作る上において
大変重要な事だと考えています。
速く返るものは、ゆっくり振れますが、遅くしか返らないものは、速くを要求できないですからね!

この細いバットから、凄まじいパワーが生まれる。

「細くて短い意味」

ティップの返りの速さについては、十分にご理解いただけたでしょうか?
これを具現化するには、ティップ本体がロッドの役目を果さなければいけないこととなり、
言い換えれば、ティップにグリップを付けると、十分ロッドとして使えるぐらい
完成度の高いものが必要ということです。

よく出来たティップが完成すれば、今度はバットです。

ライン番手によって、強さと長さの違うティップを用意し、
続いて、ロッド全体のどの部分を曲げてやりたいのか・・
つまり、何用のロッドなのかでバットのテーパーと長さを決めていきます。

これをティップ、バット共に何通りかのタイプの違う物を作り、
どの組み合わせが一番コンセプトにあっているかをテストしていくのです。

バットテーパーは大きく分け2種類のテーパーから構成されていて、
その内容は、比較的きついテーパーを持ったものと、きわめて緩いテーパーを持ったものです。
前者がファーストテーパーであり、後者がスローテーパーです。

理想的なフライロッドを考えた時、バットに全く力の無いロッドは成立いたしません。
つまり、バットにはより大きな力を要求したがるのは、ごくごく一般的です。
このモアパワーをグラファイトで考えた場合、トン数を変えることにより同じ太さのシャフトでも
その個性は、明らかです。

しかし、バンブーロッドの場合、素材を変えることは不可能です。
ならば、テーパーを考える事により、モアパワーを具現化できることとなるのですが、
ただ単に、パワーを持たすだけならば、単純に太くすれば細い物より強さは得られます。
しかし、太くしたことにより、目方が増え、重く使い物にならない結果は明らかです。

細くすることにより、軽く軽快になる! が・・その中にパワーを持たせたい!
それも、十分すぎるパワーを・・

と言う訳で、「ワンアンドハーフ」とはこんな考えです。

同じテーパーを持った2本のシャフトを用意します。
この2本は、太さ、長さ、重さは全く同じ物です。

1本は全長1.5mでカットいたします。
もう1本は半分の75cmでカットいたしました。
勿論この2本は比較するため、一方は同じところから1.5mと75cmを追い込んでカットいたします。

勘の鋭い方は、もうお分かりでしょう。。

カットされた2本のシャフトは、どちらが強いか?は一目瞭然ですよね!
この原理を上手く利用したのが、「ワンアンドハーフ」の仕組みなのです。

比較的曲がりやすいテーパーで長い物を作っておき、切る位置や長さを調整することにより、
非常に強い物から、それなりの物まで、瞬時に作ることが出来るのです。

もともと曲がり易い性格のものを短くしたとて、曲がり易い事には変わりないのですが、
その曲がり方に大きな違いが生じてきます。

優れたティップと曲がりを考えたバットが融合し始めて良いロッドが誕生し
「曲がるのにティップの返りが速いロッド」を作ることが出来るのです。

この何倍もの数のロッドのデーターを蓄積し、ジーニアスロッドの基本テーパーが生まれた。

「偶然の産物」

「銘竿とは、偶然の産物である」とあるビルダーが言ったとか言わなかったとか??

ここで、危険と誤解を恐れず、言っておこう。。

銘竿は偶然の産物である。  私も全く同意見であることを。。

銘竿とは、あくまでも人に評価してもらう物で、自らが銘竿と評価する物ではないので
言い換えよう・・

いい竿は偶然の産物である・・と!

危険と誤解を恐れずにと書いたのは、私のような無名ビルダーがほざく様なものではなく
確固たる地位を築き上げたビルダーが口にするからこそ重い言葉として受け止められる。
今の私の立場で言うと、ただの怠慢ビルダーとしか評価されないだろう。

しかし、今現在ジーニアスロッドをご使用されています人々や、私の考えに共感して頂ける方
つまり、分かってくださる方は分かって下さるだろう。
だからこそ誤解を恐れず、これをここに表現いたしました。

何故「偶然の産物」たる言葉をあえて使ったかと言うと、
実は、ジーニアスロッドの竿作りの考えそのものや、ワンアンドハーフの仕組みに
大いに関係しているからに他ならないからです。

では、話を本題に戻しましょう。。

作り方の大体はこの通りです。

よく出来たティップ数本。
何通りかの長さでカットされたバット数本。
これを様々な組み合わせで試投してみる。

中には全く使い物にならない物。 中には“鳥肌”が立つ物。

鳥肌が立ったロッドの長さを測ってみる。
7’8”・・・

実はこうしてジーニアスロッドは出来ているのです。
たとえ鳥肌が立っても、スペックがカブっては採用になりません。。
しかし、そんなことばかり考えていると、大体の平均値が見えて来、おおよそのテーパーとカット寸法等
よほどのことが無い限り、アクションを出す上で外す事は無くなった。

偶然の産物とは、何も考えないでたまたま出来上がったロッドが良い竿と理解されがちである。
しかし、ここで言う「偶然の産物」とは、意図的に作る物あり、
この手法を用いることにより、より高い確率で良い竿を作り出す、最も理にかなった考えだと思います。

ここで1つ、面白い話をいたしましょう。

弊社のパラボリックシリーズで、『ホスキンス』と『ディ−プレイ』と言うモデルがあります。
実はこのモデル、ティップの長さが違うだけで、バットは全く同じスペックです。
両者は異なるティップを採用することにより
全く異なるアクションをもった2本のロッドが誕生したのです。

ディープレイはホスキンスより長いティップを採用することで、長い分の重さがバットに加わり、
よりバットエンド側が作用し、スローテーパーで構成されたバットは、小渓流でウエットフライをするのに
うってつけのアクションとして誕生いたしました。

勿論、この2本は「ワンアンドハーフ」であり、言い換えれば「ワンアンドハーフ」だからこそ
出来たと言っても過言では無いでしょう。。


今日において、「ワンアンドハーフ」はパラボリックアクションを作る上で
必要不可欠なものであり、ジーニアスロッドにおいてもその考えは全く変わらない。


・・・・おわり・・・・



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   No3       「なごみ」ました。。   2007.2.6



2月に入ると、各地河川は解禁となり、私の住む近畿地方から程近い中部でも
次々と解禁を迎え、かじかむ手に息を吹きかけながらライズを待つフライマンが川面に行列を組む。

九頭竜川でも毎日のようにサクラが上がり、秋田の達人は、早くも「62センチのサクラが咲いたよ」の朗報が舞い込む。

フライマンなら居ても経っても居られない時期に、私は仲間数名と管理釣り場の鱒と遊んできた。。
なごみの湖」・・関西のフライマンなら誰でも知っているポンドだ。
このエリアは本湖とライトエリアからなり、その日の気分でどちらで釣るかを決めれるありがたい釣り場である。

1日中足踏みをしながら立ってなければいけない寒い日は、ライトエリアがお手軽で
最近の私のお気に入りである。。

キャスティングレッスンに参加中のNご婦人。  足場の良い管理釣り場は、高価なバンブーも安心だ。

お気に入りの理由は、簡単である。 難しいことを考えなくても釣れるから・・
である。。

また、難しくしたい時はいくらでも難しく出来る。。
その答えは、そこに魚が沢山居るからだ!

管理釣り場にいくと言えば、まるで初心者が行く所の様に思っている人が居る。
特に、関西圏はその傾向が強いようだ。


偏見を持たずに、楽しめばいいのに・・?と言いたくなる。

私は管理釣り場が好きだ! 面白い。。 いや  超面白い。。
時として、ルール無用の釣り方で釣りまくり、時として厳しいルールで自分を縛る。
人より遠くへ飛ばせば、沢山釣れる。。 だからキャスティングの本質を考える。。
浅いエリアでは、サイトフィッシング。。  深いエリアではシューティングでのリトリーブ。。
湖に恵まれない関西圏では、広大なエリアフィッシングがありがたい。

したいように楽しめる管理釣り場は、近年のストレス解消の場所として
大いに役立って鱒!



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   No2    パラボリックな話 その2  2007.2.1

久々の更新です。 いや〜〜なんか今年になって、「どうなっちゃったの・・新藤くん?」
て言うぐらい、注文をいただきまして。。
全く嬉しい悲鳴なんですが、電球の切れる前・・にならない様 願うばかりです。。

そんなこんなで・・
ようやく、一段落いたしましたので2007年最初の話は「パラボリックな話」の続きをおば・・

バンブー・グラス・グラファイト・・ 個性はあっても、パラボリックの良さは変わりない。。



「2つのアクション」

パラボリックには、大きく分けて2種類の作用をするアクションを基本とし
使用目的に応じて区別していきます。

まず、ティップから順番に曲がる様設計されたアクションです。
これを「A」といたしましょう。
ティップから作用すると言っても、よくあるバットが強く、ティップが弱いものとは異なり
最初に負荷を掛けた時、ロッド全体が緩やかにしなり、その負荷を加算することで
ロッド全体の曲がりがその負荷に応じて大きくなっていくものです。

この様なテーパーを持つアクションは、ティップの返りも早く、多くはドライフライや
短時間で遠投をしたい時に適したアクションで、「Crimson-Beauty」「Spider」がそれに属し、
最も一般的でかつ使いやすいアクションです。



もう一つは、最初にバットが作用し、次にティップまで綺麗に弧を描くよう設計されたアクションです。
今度は「E」といたしましょう。
このアクションは、「A」と同じ最初の負荷の段階で、グリップ付近から曲がるのが特徴で
後は荷重に適したところが追従する・・つまり「A」と同じ作用をするものです。

このアクションの多くはスローテーパーから成り立ち、ウエットフライアクションとも言われています。
「Deep-Rey」「Skues」「Silence-Mob」「Passionate」等がそのアクションを持ったロッドです。

パラボリックの基本は、大きく分けこのA/Eの2つのアクションから成り立ち
使用目的やフィールド環境により、A〜Eまでの中間アクション、B・C・Dを確立いたします。
つまり、Aがファストアクションとすると、BはセミファストCはミデアム(当社ではセミスロー)
Dがスロー、そしてEがウルトラスローと、アクション分けしていくのです。

この2つのアクションは、良質なパラボリックを作る上で最も重要な要素と考え、
基本設計であるロッドテーパーが、優れたものでない限り完成いたしません。

この2つの基本テーパーがあってこそ、今日におけるパラボリックの素晴らしさを
伝えることが出来ていると考えています。。

開発をする上で達人の意見は、大物を釣るより貴重である


「らしさ・・の重要性」

バンブーロッドにおけるパラボリックであるための重要な要素を、もう1つお話いたしましょう。
実は他ならぬ、竹と言う素材から来る目方・・つまり“重さ”です。

竹の重さが、あの独特なアクションの1つを作り出していると言っても過言では無いでしょう。
パラボリックは、強いティップと柔軟性に富んだバットが絶妙に融合して成り立ち
そこに竹の重さが加わることで、独特のアクションが完成いたします。

よく出来たパラボリックをキャスティングした場合、放出するラインは、
竹以外の素材では体感することが無かった力強さ・・!みたいなものを、感じたことが有るはずです。

よく曲がるバットが十分にエネルギーを蓄え、強いティップがラインを押し出す!
グラファイトのようなスピード感はありませんが、ラインを押し出す力は独特なものがあり
例えるなら、「ドラゴンボールZの“カメハメハ”」にも似た・・
溜めて・・溜めて・・→→→→→押し出す!


カ〜〜メ〜〜ハ〜〜メ〜―――――――ッ!

って感じで・・

正にそんなイメージがピッタリなトルクのあるループが展開するのです。

高密度繊維で形成されたバンブーロッドは、曲がりに対する反発力を高めるより、
復元力を大きくした方が、竹本来の性能を100%引き出せると考えています。

ドカン!!と強い力で押し出されたようなループを展開するために必要な条件は
ロッドの復元力にあり、加えてロッドそのものにある程度の重さがあった方が、復元加速が後半に集中し易く、
蓄えられたエネルギーを一気にラインに乗せる事が出来るのです。

つまり・・

素晴らしいロッドとは、勿論!完成されたテーパーで構成しないと駄目ですが、それに加え重さもとても重要なのです。

だからと言って、1日振ってられないほどの重さは問題外です。
当然 重いより軽い方がいいのですが、アクションを出すために必要な重さがあると考えています。

この重さが、正にパラボリックらしさ・・ひいてはバンブーロッドらしさ・・ではないでしょうか。
軽いのではなく、「軽く感じる」がベストで、本当に軽くないといけないのであれば、

グラファイトを使ったらいいだけですもんね!


・・・・・・・つづく・・・・・・



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No1         迎春       2007.1.1

新年明けましておめでとうございます。

昨年は私にとりまして、躍動の年で、またこの上なく充実した年でもありました。
様々な出会いは、私の財産であり、進化するためのエネルギーでもあります。

このエネルギーを絶やす事無く、2007年もより一層の年と願っております。

皆様、本年もよろしくお付き合い頂けます様、心からお願い申し上げます。



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